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東京地方裁判所 昭和45年(特わ)66号 判決 1970年9月30日

被告人

1

本店所在地 東京都中央区銀座西六丁目三番地

株式会社 パン・ジヤパン・エンタープライズ

(右代表者代表取締役 増山誠)

2

本籍 東京都台東区根岸二丁目一二七番地

住居

東京都大田区田園調布七丁目二九番一一号

職業

会社役員

増山誠

昭和六年一〇月七日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

五味朗

主文

1  被告株式会社パン・ジヤパン・エンタープライズ

を罰金二五〇万円に、被告人増山誠を懲役三月にそ

れぞれ処する。

2  被告人増山誠に対し、この裁判確定の日から二年

間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告株式会社パン・ジヤパン・エンタープライズは、東京都中央区銀座西六丁目三番地に本店を置き、バーおよびキヤバレーの経営等を営業目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人増山誠は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人増山は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四一年一月一九日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三三、二四二、一〇六円あつたのにかかわらず、同四二年二月二八日東京都中央区新富町三丁目三番地所在所轄京橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、〇〇四、六二四円で、これに対する法人税額が一、八六九、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の正規の法人税額一一、三九八、五〇〇円と右申告税額との差額九、五二九、四〇〇円を免れたものである。

(なお、修正貸借対照表は別紙一のとおりであり、税額計算書は別紙二のとおりである。)

(証拠の標目)(標目下の数字は別紙一の勘定科目番号を示す。)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1  現金有価証券等現在高検査てん末書(1)

2  仕入調査書(17)

3  指名料調査書(18)

4  持込時の未払給与について(18)

5  個人分所得金額の分離計算調査書(22)

6  増山誠夫妻の個人的支出金額の調査書(22)

一、次の者の作成した証明書

1  株式会社平和相互銀行新橋支店長岩崎喜久造二通(3)

2  右同銀行銀座支店長大平康二通(検察官証拠請求番号甲(一)3、5)(3)

3  右同人(右同甲(一)8)(4、22)

4  株式会社富士銀行新橋支店長森田嘉矩(3)

一、次の者の作成した取引内容の回答書

1  株式会社高島屋東京支店経理部計算課長平沢雄三郎(8)

2  東洋熱工業株式会社経理課長塩崎昭二(8)

3  山際電気株式会社総務部経理課品田成寿(8)

4  株式会社矢橋大理石商店東京支店高田徹(8)

5  株式会社梁瀬会計課長井口啓一(10、18)

6  株式会社日動面廊経理責任者神津清(11)

7  日本総業株式会社総務部長打田誠司(11)

8  新東洋自動車整備株式会社代表取締役斉藤和男(18)

9  国際自動車株式会社西銀座営業所長菊地和雄(18)

一、株式会社ヤナセ業務部経理課長宇野秀夫作成の「ビユイツク売渡代金の入金状況に関する件」と題する書面(10、18)

一、株式会社サンモトヤマ経理宮下昭三作成の「(株)パンジヤパンエンタープライズとの取引について」と題する書面(11)

一、株式会社日本ダイナースクラブ管理部調査役小川正男作成の海外渡航に伴う消費額照会に対する回答書(13)

一、次の者の作成した上申書

1  榎本建規(8)

2  有限会社春日商会代表取締役井上清一(11)

3  有限会社玉屋岩瀬芳郎(17)

4  白洋タオル株式会社星野彰子(18)

5  国際自動車株式会社西銀座営業所長菊地和雄(18)

6  株式会社ヤナセGM事業部(18)

一、次の者の検察官に対する供述調書

1  宮本康三郎(全般)

2  高橋洋子(6、7、14、17、18)

3  山本六男(4)

一、登記官作成の登記簿謄本(全般)

一、押収してある次の証拠物

1  総勘定元帳一綴(昭和45年1268号の18)(全般)

2  法人税決議書綴一綴(同押号の48)(全般)

一、被告人増山誠の作成した次の上申書

1  会社の簿外預金の名義等について(3、4)

2  売掛金について(6、27)

3  貸付金について(7、27)

4  会社の売上除外等による裏金で取得した固定資産等の内訳について(8、10、11、18)

5  契約金について(14)

6  契約金の訂正について(14、27)

7  自動車関係費用の簿外支出金について、(18)

8  (株)パンジヤパンエンタープライズの給与について(18)

9  雑給与の支給について(18)

10  簿外支出の海外渡航費について(18)

11  私「増山誠(含む家族)」の収入・支出金額について(22)

12  会社の設立時前(個人営業当時)における架空名義の定期預金について(22)

一、被告人増山誠の次の検察官に対する供述調書

1  昭和四五年一月一六日付(全般)

2  同月一七日付(全般)

3  同年二月三日付(全般、特に1、3、4、8、10、11、13、14)

4  同月五日付(17、18)

5  同月六日付(22、24)

6  同月九日付(27)

一、被告人兼被告会社代表者増山誠の当公判廷における供述(全般)

(法令の適用)

1  判示事実は、被告人増山につき法人税法一五九条(懲役刑選択)、被告会社につき同条、同法一六四条一項。

2  執行猶予につき刑法二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一

修正貸借対照表

(株)パン・ジャパン・エンタープライズ 昭和41年12月31日

<省略>

<省略>

別紙二

税額計算書

<省略>

<省略>

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